導入事例集

応募12件・20代の協力隊採用へ。離島・新上五島町が潜在層に届いた理由

作成者: SMOUT|2025/12/23
ユーザーページ 長崎県新上五島町 地域づくり課
スマウト導入 2023年12月〜(プレミアムプラン)
ご担当者さま 主事 畑下 響太 さん

長崎県の西に位置する新上五島町は、海と山が近く、季節ごとの文化や自然を身近に感じられる離島です。人口は約1万6千人。高校までしか学校がないことや島外就職の割合が高いことから、若い世代の流出が続き、高齢化も進んでいることが課題でした。

スマウトを活用している地域づくり課には約10名が所属し、移住促進や協力隊の受け入れなど幅広い業務を担っています。今回インタビューに応じてくださった主事の畑下響太さんは、観光関連企業を経て町役場に転職し、2025年度から移住担当としてスマウト運用に携わるようになりました。

導入前の課題と、スマウトで実現したかったこと
潜在層に届かない“出会いの少なさ”を突破する採用基盤づくり

新上五島町が抱えていた最初の課題は、「応募者数そのものが少ない」という状況。協力隊募集を行っても、十分な応募数がなかなか確保できず、相談の機会も限られていました。また、県主催の相談会や離島の交流イベントには参加していたものの、「これらの参加者は“長崎県を目指している人”や“島好きな人”が中心で、移住先を広く検討している潜在層へのアプローチには限界があった」といいます。

そこで期待したのが、スマウトの持つ「知らない地域との出会い」を生む仕組み。
畑下さんは「まず町を知ってもらうことが必要でした。スマウトなら、移住先が決まっていない人にも情報を届けられると感じました」と話します。

新上五島町としては、

  • 協力隊募集の応募数の増加
  • 潜在層への認知向上
  • 相談機会の拡大

を主な目的として、2023年12月からプレミアムプランでスマウト導入に踏み切りました。

地域の魅力と弱み
豊かな自然と文化が息づく一方で、離島ゆえの制約が残る地域性

新上五島町の魅力は、四季の彩りや海の幸の豊かさ。春には相河川のゲンジボタルが幻想的に光り、夏には海、秋には五島神楽、冬には教会コンサートと、地域文化が季節ごとに息づいています。また、新鮮な魚が日常的に食卓に並ぶのも島ならではの魅力。長崎県「推し魚(おしうお)」第1号に認定された養殖クロマグロは特に評価が高く、お試し住宅の利用者からも「魚が美味しくて安い」という声がよく届くといいます。

一方で、交通や物流が制約されることは離島の大きな課題。大学がないことによる若者流出も避けられず、その結果として慢性的な人手不足が続いています。
こうした「魅力と弱みの共存」は、離島での暮らしを理解してもらう上で丁寧な情報発信が必要でした。

運用方法と工夫
週次の見直しで進む“改善サイクル”と、“地域を知る入口”としての読みもの活用

スマウトの運用は、地域づくり課と、委託パートナーである株式会社コンネが共同で行っています。役場側は記事の添削やスカウトへの返信、相談対応を担当し、コンネ社は記事提案や記事作成、スカウト送信、反響分析などを担う体制です。

令和6年度からは週1〜隔週で定例ミーティングを実施し、

  • 興味ある数や応募傾向の分析
  • 反応のあるスカウト文面の確認、改善
  • 今後出す予定の募集と、それに対する記事のすり合わせ

など、運用の質を高めるノウハウ作りに奮闘中。スマウトを通した移住相談にはどんな内容のものが多いのか、また他自治体の伸びている記事はどんなテーマでどんな書き方なのかという研究など、日々スマウトと向き合って改善を重ねている最中だといいます。

募集記事だけでなく、移住者インタビューなどの“読みもの記事”も積極的に掲載しています。これは「まず島を知ってもらう」という目的に非常に効果的で、応募前の不安解消やイメージ形成に役立っているといいます。

成果と、出会えた人たち
1ヶ月で97興味ある・12件の応募。地域やミッションと相性の良い人物の採用へ

近年、特に成果が挙がったのが、地域おこし協力隊募集を目的とした「【2025年9月勤務開始】地域活性化や集落支援に取り組む地域おこし協力隊募集!新上五島町」
2025年7月下旬のプロジェクト公開後、約1ヶ月間で97件の興味ある、12件の応募が集まりました。

単に「協力隊募集」とするのではなく、「地域活性化や集落支援に取り組む協力隊」と具体的なミッションをタイトルやアイキャッチに入れたことも影響してか、従来よりも明らかに相談件数が増え、募集以外の記事にも反応が広がっていったとのこと。

その中から採用につながったのが、20代後半の男性。
釣りが好きで島との親和性も高く、高いコミュニケーション能力を備えた方でした。オンライン相談では、島での暮らしに対する真摯な姿勢が伝わり、それが採用の後押しになりました。
2025年9月に協力隊として着任後、現在は地域を回りながら島民の方々との関係性を少しずつ築き、「自分が地域にどのように貢献できるのか?」を模索する日々を過ごしています。

スマウトというオンラインの出会いが、島の未来を支える一人の人材につながった事例です。

評価と今後の活用
潜在層へ届き、対話が生まれる。採用の質を高めるプラットフォーム

畑下さんは、スマウトの価値として「潜在層へアプローチできる点」と「移住検討者と気軽に対話できる点」を挙げます。
導入前と比べて移住相談は格段に増え、応募者の熱意を把握しやすくなったと話します。

新上五島町は令和7年度、8年度も継続利用を予定しており、コンネ社との共同運用体制を続けながら、募集と魅力発信の両面でスマウトを活用していく方針です。

同じ課題を持つ自治体へのメッセージ
“まず知ってもらう” ための一歩を生むツールとしてのスマウト

畑下さんは、「スマウトを使い始めてから、移住検討者との接点が格段に増えました」と話します。
応募や相談が増えただけでなく、町を訪れるきっかけや、島のことを知る入り口としても効果を感じているといいます。

最後に、担当者としての思いを伺うと、こんな言葉が返ってきました。
「スマウトは、人材の募集に限らず、まちの情報発信としてもとても有効なツールだと思います。そして、ぜひ上五島にも遊びに来てください!」

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