SMOUTを運営する株式会社カヤックと株式会社さとゆめは、地域でのマルチワークに関して、ユーザー側と地域側それぞれに調査を実施しました。
カヤックとさとゆめは昨年より、マルチワークに特化した地域支援事業「多業多福(たぎょうたふく)」を共同で運営しています。カヤックはSMOUTに登録している男女を対象に「新しい働き方・暮らし方の展望に関する調査」を、さとゆめはマルチワークの雇用機会を提供する「特定地域づくり事業協同組合への現状調査」を行いました。
同時期に調査を行うことで、地方興味層のニーズと、地域側で運営する「特定地域づくり事業協同組合」ミスマッチがないかを確認し、今後の地域支援事業「多業多福」の運営に活かしていきます。
調査概要(カヤック実施)
- 調査タイトル:新しい働き方・暮らし方の展望に関する調査
- 調査期間:2023年8月28日~2023年9月15日
- 調査対象者:SMOUTに興味関心のあるユーザー216人(地域興味層)
- 調査方法:インターネット
- エリア:全国
調査結果のまとめ
- 三大都市圏に住む地域興味層は、暮らし・働き方に関して「住環境」に課題を感じている人が全体の57.3%と最多。それ以外の地域よりも「住環境」に不満が多い傾向。
- 地域興味層のうち、「地方への転職や起業」を希望している人は全体の70.4%を占め、暮らしのシフトを考えている人の多さが伺えた。
- 「地方への転職や起業」を選んだ人のうち53.3%が「色々な仕事をしてみたい」を選び、「1つの仕事をとことん極めたい」の21.7%を大きく上回った。
- 「まずは色々な仕事をしてみたい」と答えた人のうち、興味のある産業分野に関して、40代以上では1位が「農業」(46.6%)、2位が「観光業」(38.4%)、3位が「伝統工芸」(37.0%)となった。一方、20代・30代では、「産業にこだわらずに従事したい」の回答が66.7%と突出して多く、多様なキャリアを希望するニーズが伺えた。
- 「色々な仕事をしてみたい」を叶えるマルチワークのための制度「特定地域づくり事業協同組合」については、7割以上(73.6%)の人が知らない、もしくは意味を理解していないことが明らになり、認知度の低さが伺えた。
※さとゆめが実施した「特定地域づくり事業協同組合への現状調査」の調査結果はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000050855.html
1.三大都市圏では、それ以外の地域よりも「住環境」に不満が多い傾向
地域興味層(SMOUT登録者)に、現在の暮らし方・働き方で特に悩みや改善したい点(複数回答)を尋ねたところ、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)に居住している人では、1位が「住環境」(回答者全体の57.3%)、2位が「ワークライフバランス」(回答者全体の42.0%)、3位が「やりがい」(回答者全体の38.2%)でした。このように三大都市圏では「住環境」が改善したい点として57.3%と突出して多かった一方、それ以外の地域では1位が「社会貢献への参加」が1位(42.4%)という結果となりました。
この結果から、特に都市部では人口集中による地価の高騰や、満員電車や交通渋滞などに関わる「住環境」に課題を感じる人が、地域に興味関心を持つきっかけになっていることが伺えます。
2.都市圏の仕事をテレワークとして続けるよりも、地方に軸足を置く転職や起業など、暮らしのシフトを考えている人が全体の70.4%を占めた
仕事環境の変化で今感じている課題を解決するとしたらどの方法を選ぶか「都市圏への転職や起業など」「地方で都市圏の仕事をテレワーク」「地方への転職や起業など」「今のままがいい」の4つの選択肢から回答を得たところ、3つめの「地方への転職や起業など」を希望している人が全体の70.4%を占めました。ここから、地方を拠点にしたライフスタイルにシフトしたいと考える傾向が高いことが伺えます。
3.「地方への転職や起業」希望者のうち半数以上が「色々な仕事をしてみたい」を選び、マルチワークへの潜在的ニーズを伺える結果に
「地方への転職や起業など」を希望した人を対象に、まずはどんな働き方をしてみたいか尋ねたところ、「まずは一つの仕事をとことん極めたい」に比して「まずは色々な仕事をしてみたい」が半数を上回りました。ここから、地域への移住直後は、その地域の仕事と自分の適正を見極めながら、様々な経験をしてみたい、というニーズがあると考えられます。
4.「まずは色々な仕事をしてみたい」と答えた人のうち、20代・30代は「産業にこだわらずに従事したい」と多様性を重視している傾向
上記の質問で「まずは色々な仕事をしてみたい」を回答した人に向けて特にどの産業分野に従事したいか(関心があるか)尋ねたところ(複数回答)、20・30代と、40代以上で傾向の違いが見られました。
40代以上では、一次産業である「農業」(回答者全体の46.6%)に続いて「観光業」(回答者全体の38.4%)「伝統工芸」(回答者全体の37.0%)など、特定の産業に興味関心が集まった。一方、20・30代では「こだわらずに従事したい」が66.7%と突出して多い結果となりました。
40代・50代は一次産業など地域性の強い1つの仕事にフォーカスして専門性を高めることに重視している傾向が伺える一方、20代・30代は多様な職種にオープンに接していることが読み取れるため、若い世代が固定のキャリアパスよりも柔軟性や多様性を重視していると考えられます。
5.「色々な仕事をしてみたい」を叶える政府の制度、マルチワーク(特定地域づくり事業協同組合)は認知度の低さが課題
政府は、2020年から地域で複数の仕事を組み合わせた雇用を提供する団体「特定地域づくり事業協同組合」の活動支援を行っています。総務省主導で財政的、制度的な支援を受けて運用している組合ですが、「その存在を知らない」と答えた人が「まずは色々な仕事をしてみたい」と答えた人の中でも58.8%と半数以上で、「意味は知らないが聞いたことはあった」と答えた人が14.8%と、あわせて73.6%と7割以上の人が制度を理解していないことがわかりました。
(参考)特定地域づくり事業協同組合制度とは
総務省は「特定地域づくり事業協同組合」の制度でマルチワークを後押ししており、財政的、制度的な支援を行っています(2020年施行)。マルチワークは、「農林水産業、商工業など地域産業の担い手が欲しい、けれども、繁盛期・閑散期があるため、安定した雇用環境を提供できない」という従来の地域の課題を解決する新しいワークスタイルとなることが期待されています。
総務省・特定地域づくり事業協同組合制度URL:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/tokutei_chiiki-dukuri-jigyou.html
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