
一度も下見せず、北海道から南の島へ。20代でマルチワーク移住した山口さんが見つけた「次の道」
1年半やりとり→下見ゼロで島移住
充実のマルチワーク生活
島を離れても続く“絆”
インタビュー
新卒で会社勤めしていた頃は、家と職場の往復で、時間やタスクに追われる毎日でした。
「このまま社会の歯車として生きていくのかな」と考え始めて。
身軽に動けるうちに、ずっと憧れていた南の島に行ってみようと、急に火がついたんです。
スマウトで沖縄の離島など、いろいろな島の方にお話を聞いていました。
その中で徳之島だけ、まったく知らない島だったんです。
知らないからこそ、逆に気になりました。

プロフィールを細かく登録していたら、ある日大保さんからスカウトをいただきました。
仕事が忙しくてやり取りが途切れた時期もありましたが、島への熱は消えなくて。
落ち着いた頃に「もう一度、本気で移住を検討しています」と連絡しました。
下見には行くつもりでしたが、仕事がハードで休みが取れなくて。
初めて自分で買った車を連れて、フェリーを3本乗り継ぎました。
到着した日が、初上陸です(笑)

フェリーで一緒に島まで来た愛車
まちづくり協同組合(脚注1)に所属して、島の事業所に派遣される働き方です。
じゃがいもの収穫で忙しい2〜4月は農家、それ以外は保育や学童の仕事とか。
どれも島に来て初めての仕事でした。

環境が変わることを壁に感じず、新しい出会いを楽しめる人にはすごくおすすめです。
3つの事業所に行けば、3つの職場ぶん知り合いが増えるので。
私にはメリットしか感じませんでした。

生姜畑にサトウキビの茎や葉で「敷き草(マルチング)」をする様子
親世代の方々が、本当に家族のように接してくださいました。
毎晩のように「晩ご飯食べにおいで」と声をかけてくれて。
その周りに集まる島の人たちとも、年齢や性別を問わず自然とつながっていきました。
お金を払ってサービスを消費する場所が少ないので、自然の中で遊んだり作ったりしていました。
以前買っていた物は、実はあまりいらなかったのかもって思ったり。
逆に、人と密に関わることがこんなに面白いんだと、心から感じるようになりました。

転換というより、いろんな価値観の層が増えていく感覚です。
これまで積み上げてきたものの上に、島での経験が重なっていきました。

島の特産「ピュアホワイト」。収穫期、一番美味しい朝採れたばかりのものを畑の真ん中でムシャムシャ食べていました
次は東京に移住する予定です。
『結局都会?』と言われることもあるんですけど(笑)
そうではなく、東京の西の方で林業をはじめるんです。
一次産業にはずっと興味があったんですが、島で農業をしたり、自然の中で遊んだりするうちに「自然は全部つながっている」と感じて
自分がどう関わるのが良いか、調べていく中で林業にたどり着きました。
今も島の人とは毎日のようにLINEしていて、「潮引いてるよ、獲りに行こう」なんて連絡が来ます(笑)
素敵なご縁が続いているんですね。
お話を聞かせていただき、ありがとうございました!
編集メモ
山口さんは約1年半、スマウトで地域の人とやり取りを続けたのち、徳之島に移住しました。求人サイトのように「応募して終わり」ではなく、つながったまま時間を置き、思い立ったときに再開できる。そんなスマウトらしい使い方が、移住の後押しになったのではないでしょうか。
また、結果的に短期間で島を離れることになったことを、ご本人も地域の方々も前向きに捉えていらっしゃったのも印象的でした。
「移住」というと、移住先に骨を埋める覚悟で!と考える人もいるでしょうし、地域としても、せっかく来てもらったのなら定住してほしいでしょう。
しかし、目の前の仕事に真摯に取り組み、地域の人と言葉を交わし、コミュニティに溶け込んで親交を深め…そうやって日々を積み重ねた結果、新たにやりたいことを見つけて、また別の場所に旅立つこともある。
山口さんにとって徳之島は、新しいふるさととなったことでしょう。その縁はこれからも続き、山口さんと徳之島の双方に思いもよらぬ実りをもたらしてくれるのかもしれません。

※1「とくのしま伊仙まちづくり協同組合」とは:
特定地域づくり事業協同組合の制度を活用した組織。
組合に雇用された職員が、季節ごとに人手を必要とする地域の事業所で働く仕組みで、仕事をしながら地域のことを知り、人間関係を広げられるのが特徴です。



