38年間クビにならない市役所職員が本当にすべきこととは何か。自治体職員によるオンラインコミュニティ「市役所をハックする!」から見えること

38年間クビにならない市役所職員が本当にすべきこととは何か。自治体職員によるオンラインコミュニティ「市役所をハックする!」から見えること

島根県・海士町の活性化を目的とした民間主導の投資型サロン「ないものはないラボ」のように、有志で資金を担保して課題解決を行おうとする動きが、さまざまな業種で生まれつつあります。

この9月、自治体職員を中心に立ち上がったオンラインの投資型サロン「市役所をハックする!」もその一つです。そもそもは、同サロンの立ち上げメンバーの一人である長野県塩尻市役所 地方創生推進係長の山田崇さんが、ベンチャー企業の育成支援を行うインクルージョン・ジャパン(以下、ICJ)の吉沢康弘さんと出会い、ある助言を受けたことが始まりでした。「38年間クビにならない公務員が本当にすべきことは何か」をテーマに課題提起を行ってきた山田さん。同じ志を持つ自治体職員たちと出会い、話し合いを重ね、それが考えられる仕組みをようやく具体化させたのです。

しかし活動を開始して一カ月後、中心メンバーの一人が台風19号で被災。兵庫県神戸市の職員が、これまでの災害対応の経験からこのプロジェクトを発案し、自らの課題にも関わる「自治体職員として今できることは何か」を考え、チームで後片付けの支援と被災地の記録へと赴きました。そこで山田さんに、「八島さんをとにかく支援するプロジェクト」や「市役所をハックする!」に対する思いや立ち上げの経緯、また被災した宮城県丸森町役場 商工観光課商工班長 八島大祐さんの奥様であるひとみさんには丸森町の状況を伺いました。

被災地の自治体職員を応援すること

 

「市役所をハックする!」トップページ

 

そもそも「市役所をハックする!」は、自治体と民間企業の新規事業創出の現場で起こった失敗例の課題点、成功例のブレイクスルー点など、価値のある非公開情報や知見を共有することを目的としたオンラインコミュニティです。中心は、長野県塩尻市地方創生推進係の山田崇さん、宮城県仙台市役所経済局産業振興課の白川裕也さん、宮城県伊具郡丸森町役場商工観光課の八島大祐さん。そして、一般社団法人地域・人材共創機構/雲南ソーシャルチャレンジバレー企業チャレンジ事務局の宇野由里絵さんの4人。

このプロジェクトの事務局は、一般社団法人地域・人材共創機構です。東日本大震災の被災地の復興に人材の力が欠かせないという問題意識から始まった、「WORK FOR 東北」「WORK FOR にっぽん」を経て、2017年4月に発足した団体です。岩手県釜石市・長野県塩尻市・石川県七尾市・岐阜エリア・島根県雲南市の5地域を中心に、ローカルキャリアを育む支援をしています。オンラインコミュニティを立ち上げた山田さんが説明してくれました。

山田さん「社会で感じたこと、やるべきだと考えている事業を持つ自治体職員が集まって意見を出し、民間企業の力を借りれば、社会実装できる事業が生まれるのではと考えたんです。そこで、2020年3月31日まで6カ月間の実証実験として投資型オンラインサロンを始めました」。

ところが、約1カ月後の10月12日に台風19号が宮城県伊具郡丸森町を直撃し、一帯は甚大な被害を受けました。中心メンバーの八島さんからメッセージが来たのはそんな時だったと言います。

山田さん「活動に参加できなくて申し訳ない、という内容でした。その時、心がざわついたんです。今起こっている想定外の台風被害を前に、活動に参加できず申し訳ないと言わせてしまったことに。復興対応や住民のことを一番に考えるからこそですが、彼の言葉には、メディアや役場のような公式の場には出てこない自治体職員と一個人を並行した時に生まれる悩みがある気がして。ある意味で、自治体と民間企業が新規事業を進めるクローズドなやりとりの中で放置され、見えないままだった問題や課題の一つと言えるのではないか、と思ったのです」。

自治体職員の職務として、災害時は地域住民の保護と対応が最優先になります。たとえ被災していても自宅の対応は最後という認識は、どの職員にも共通すること。山田さんは同じ自治体職員として、コミュニティの一員として、浸水した八島家の片付けを手伝うことで、八島さん本人が家族のことを心配せずに、復興業務に没頭できる環境づくりをしたいと考えました。八島家には3歳のお子さんがいると聞いていたからです。

 

八島ひとみさん(左)と長野県塩尻市職員の山田崇さん(右)。

 

山田さん「お手伝いすることで、ご家族の生活を少しでも日常に戻せたらと思いました。今回のことは、私も含めてどこの自治体職員にも起こる可能性があります。その時に備えて状況を記録しておく重要性を感じましたし、同業者ということで信頼していただきやすいのではということで、ボランティアではなくオンラインコミュニティからの『八島さんをとにかく支援するプロジェクト』としてお伺いしたんです。丸森町では、八島家の片付けチームと私を含めた調査記録チームが動いています」。

この時点では、まだ八島さんに会っていなかったプロジェクトのメンバー。台風後はほぼ毎日、24時間体制で復興業務にあたることを把握していただけに、余計な連絡や判断は求めず必要最低限の会話だけでひとみさんに直接連絡したのだそうです。

宮城県・丸森町の被災状況と日常生活を取り戻す作業について

 

丸森町の10月時点での状況。グラウンドが災害ゴミ置き場になっている。

 

約3週間が経ち、一見するといつもの風景に戻ったように見える丸森町。しかし、ひどい時で地上約1mまで水が来たという被害の大きさは、一度家に入ってみるとわかります。八島家もそんな一軒でした。青森出身で仙台の学校に通い、宮城県柴田町の役場に勤務していたひとみさんには地縁もなく、頼りの八島さんは役場から戻れない。ボランティアも来ないという中で幼い子どもを気づかいながら、少しずつ片付けを進めてきました。

ひとみさん「水が引いてからまずしたのは、庭の土砂をどけて浸水した畳を置く場所をつくることでした。車庫に入った30cmほどの土砂をかき出し、家電や家具をほぼ処分し、畳を捨て、代々受け継がれてきた物だけを残して、一つずつ手をつけることでしか進めなかったんです」。

 

成人男性が複数集まって、ようやく動かせる家具も多い。

 

 

すべての畳が上げられた座敷。人手が足りずこの段階まで辿り着けない家も多いという。

 

床を早く乾燥させないと腐ってしまうため、そこまでに到る作業にも迅速さが求められます。しかし、家財の運び出しに使う自動車も水没してしまい、手当たり次第に知人を当たって、ようやく軽トラ一台を借りられた程度だったのです。八島家では同居していた義理の弟さんや親戚の力もあり、畳自体は1週間ほどで処理できたものの、汚水の混ざった水に浸かった部屋は消毒も必要です。とはいえ地域一帯が混乱しているため、発注した大工さんがいつ来るかもわからない状況。あまりの作業の大変さに、自分でできる範囲しかやらないと諦める高齢者の家さえあると言います。

 

古くからの家には思い出のある家具や品も多い。浸水後に廃棄するかどうかの判断が難しく、作業を遅らせる一つの原因になっている。

 

ひとみさん「主人は周囲が浸水した役場に詰めており、空き巣に注意するよう言われました。自宅には、マスコミを含めて知らない人がたくさん訪れる状況でしたが、義弟が自宅にいたので、精神的にずいぶん助けられました。被災から3日間は停電で夜は真っ暗でした。子どもと2人だけだったらさぞかし怖かっただろうと思います。片付けが始まった直後には、義母が体調を崩し、不在となりました。嫁の立場だと扱いが難しい、使っていた家具の、ゴミとして処分する・しないを、義弟に相談しながら判断しました」。

しかも、台風の翌週は再び大雨。前の川の堤防が決壊したままだったため再度冠水し、避難指示が発令されました。ひとみさん曰く「片付けもしなければいけないけど命を大事にしなければいけない」状況が続いたのです。

 

災害ゴミの山と土っぽさの残る道路が被害の跡を伝える。

 

ひとみさん「でも、親戚がお風呂に入りにおいでと声をかけてくれ、何かとよくしてくれたので助かりました。少しでも現実から離れられる時間がもらえたのが、本当にありがたかったんです」。

3週目にもなるとメディアや個人を含めた情報拡散もかなり進み、平日にも友人が応援に来てくれたそう。普段以上に危険な状況では子どもを見るだけで手一杯でしたが、預けて作業を進められるようになりました。昼間は洗濯すらできず、夜中に隣町のコインランドリーまで通っていた時期もあるほど。友達たちの手助けがなかったら、ずっと何もできなかったと振り返ります。

 

敷居に入り込んだ泥を取り除くのは至難の業。後で襖を入れるためにも掃除機できれいに取り除いていく。

 

山田さん「今日伺ったメンバーがいても、床掃除をして裸足で歩ける状況にまで戻すには1週間はかかるでしょうね。一人だったらゴールが見えなさすぎて諦めると思うし、子どもを抱きながらなんて到底無理ですよ」。

家族の言葉に知る災害後の課題と「本当に必要な手助け」

3週間経った今でも、八島家にボランティアは一人も配属されていません。丸森町には約300件のボランティアの申し込みがあったものの被災した家に対して圧倒的に数が少なく、また高齢化率40%の地域のため高齢者宅に優先的に配属しているのだろうと思う、とひとみさん。冬が来る前に家の復旧と掃除を終わらせなければなりませんが、物が片付かないため進みません。人手不足に困る一方、非日常の状況と慣れない力仕事に疲労が蓄積し、精神的な消耗による問題も出てきました。

 

被災後とはいえ整っていない状態の暮らしを見せるのは、ストレスがかかることでもある。片付けと家を守ることが最優先だと割り切り、ひとみさんは地道に作業を進めてきた。

 

山田さん「家のことってボランティアさんに単純に頼めないことも多いですよね。自分が普段生活する部屋を見せるのはなかなかできないですから」。

ひとみさん「そうなんです。それに、手はあればあるほどうれしいのですが、3週目にもなると人に会うことにまで疲れを感じるようになってしまって。自分でもバランスを取っていかなければと思うのですが、なかなか……。だからこそ、友人の助けは本当にありがたかったです。ボランティアセンターにだけ頼っていたら、ありがたい気持ちの一方で、作業をお願いするにしても下準備が必要だし、丸ごとはお願いできないので、気を使い続けていただろうなと。精神的に安定しなかった気もします」。

山田さん「うちも核家族で子どもがまだ4カ月なので、被災したら奥さんは実家に戻るでしょうし、ボランティアさんが来てくれても指示を出せる人もおらず、家を放置したままになると思います。塩尻が被災したら、まったく同じ状況になるでしょうから身につまされます」。

だからこそ真っ先にひとみさんのお手伝いに来たんです、と山田さんは言います。

 

遊びたい盛りのお子さんと玄関先にて。後ろにはようやく一台借りられたという軽トラが。

 

山田さん「予測を上回るほどの被害を目の当たりにして、本当に言葉がありません。もし今後、自治体職員が被災することがあったとしたら、このコミュニティで何らかの準備をしたり、ボランティアセンターを超えた形で応援に行ける仕組みをつくりたいとも改めて感じました。同じ仕事やコミュニティの仲間という信頼感があるからこそできることも多いと思うので」。

ご家族が温泉に行っている間に、自分たちが床をきれいにしておく仕組みもつくれたらいいかもしれない、とも。

ひとみさん「交通が復旧し義弟も会社に復帰した今は、すべて一人で判断をしていかなければなりません。ですから、そんな時に一緒に伴走してくださる人がいたらとてもありがたいです。時間が経つとメディアの情報も縮小し、被災した側も、片付いていなくてももう甘えていられないという気持ちになっていきます。そんな中でも常に気にかけてくれる人がいると思えたら、それだけでがんばれる気がします」。

今回は、「市役所をハックする!」メンバーの福島県南相馬市職員の花岡高行さんが窓口となり、ひとみさんと山田さんのチームを繋いでいたそうです。こんなふうに寄り添ってくれる仲間が一人でもいれば、家族はもちろん職員本人の心強さも大きくなることでしょう。自治体職員が職務をまっとうするための協力体制づくりは、調査結果も踏まえながら具体化に向けて続けていくとのことでした。

「市役所をハックする!」の成立と仕組み

少し遡って「市役所をハックする!」の成り立ちや仕組みをご紹介していきましょう。このプロジェクトが生まれたのは、2019年2月。次世代リーダー発掘のための企業内大学「Yahoo!アカデミア」カンファレンスの際、山田さんがオープン・スペース・テクノロジー(※会議での討論形式の一種)の場でベンチャー企業の育成支援を行うインクルージョン・ジャパン(以下、ICJ)の吉沢康弘さんと出会ったことがきっかけでした。その時のテーマは「38年間クビにならない公務員が本当にすべきことは何か」。

山田さん「話の中で吉沢さんが『僕らはベンチャーの立ち上げで、官公庁をハックできた。山田くんは市役所をハックすればいい』と助言してくださったのがきっかけです。そして、ある金融系企業がFacebookの社内コミュニケーションツールWorkplaceを利用して新規アプリの開発を話し合った結果、従来にないスピードで形にできた事例や、『Facebookで自分の発言にいいねを押してくれる人々はもはや仮想市民だよ』と新たな気づきを与えてくださったんです」。

自分の思いに同意する人が可視化されるFacebookの空間なら、Workplaceを使って自分たちが取り組みたい事業を展開して投げかければ、話に聞いたアプリの新規開発と同じことができるかもしれない。そう考えた山田さんは現在の中心メンバー4名とミーティングを行った後、「市役所をハックする!」を立ち上げたのでした。ちなみにWorkplaceでは、社内メールアドレスを利用することで信頼性を確保しています。本コミュニティは自治体などを横断する関係性のため、同様の信頼関係を築く上でイベントなどでのスカウトを中心に、Webサイトからの申し込みには詳細な応募動機を提出してもらうといった民間企業での人材採用に似た手法を取っています。その上で半年に18,000円の会費を払うことになっており、そのハードルを越えた参加者の熱量はかなりのものです。

山田さん「来年3月までに100人の登録が目標ですが、12月15日時点で50人まできました。職員と民間企業の新規事業担当者で8対2くらいの割合を想定していましたが、実際は6対4。民間企業のみなさんの関心の高さとスピード感に驚きました」。

負担を感じずに本業と並行できるよう、活動は週2時間に限定。週40時間の勤務時間のうち5%を上乗せしてできる内容に留めています。また月に2回、平日の朝7時から1時間は、山田さんによるメンバーインタビューのラジオ番組も公開中です。

山田さん「参加動機や今考えているアイデア、活動への思いなどを聞いています。3月の終了時にどんな経験が得られたか、成長できたかという振り返りをするために始めたことですが、Workplace上での関わり方の難しさから勉強会が企画されたり、コミュニティを活性化させるスカウトイベントも企画されたりといい傾向です。みなさん直に話すと幅広い仮説を持っていて、職場で一人で温めていたものを展開させられるのではと可能性を感じてくれているんですよね」。

たとえば、「地域の“住みやすさ”について自治体を横断したデータ収集をしたい」、「出向先での経験をいかに地元に活かしていくかを考えたい」など、さまざまなアイデアや思いがあるそう。このラジオではメンバーが6カ月でどう変化していくかを尋ねると言いますが、山田さん自身はこのコミュニティを始める時にどんなことを想定していたのでしょうか。

山田さん「最近よく感じるのが、心配していたことはあまり起こらず、逆に想定していなかった別の心配事が現実に起こる、ということです。行政は議会を通した年間予算から総合計画をつくることが大前提なので計画は重要ですが、そこでは計画したことしか起こりません。このコミュニティではそれ以外もできるので、計画しないことを計画する『無計画計画』を行ってみたら、本当に想定外のことばかり起こっているんです。ですから、この状態を6カ月続けたら何が起こるのか。その結果を見てみたいと思います」。

やり続けることが目的にならないよう、期間はあくまで6カ月に限定。今までの自治体職員の常識だった考え方や仕組みを少しずらしたら、人はもちろん環境や社会にまで新たな動きが生まれたと語る山田さん。この活動を始めたことで考え方にもさらに影響があったと言います。

山田さん「会費を前払いして担保することで、自分の自治体の仕事も他の自治体と連携できそうだとか、自分の自治体だけの課題に留まらないのではと考えるまでに視点が変化したんです。予算が、政策が、様式が、という役所お決まりの言い訳はもうできません。みんなが実現させる前提で物事を考えるから、躊躇する人も出ませんしね」。

これまでに集まった90万円ほどの資金。それは既存の役所の空気を振り払い、物事にシンプルに取り組み、形にする前提で考えればいいという思考の改革をももたらしたと言えそうです。

「無計画計画」がつくる2020年3月までの活動

台風19号で被災した八島さん宅への応援と丸森町の被災状況の記録、そして今後に向けた被災地市役所職員への応援体制づくりの調査検討を行ったメンバー。その他にも計画、実行されているプロジェクトはいくつかあります。たとえば、吉沢さんからの提案を参考にしたというイベントです。

山田さん「活動時間から逆算して約2カ月で形にできる企画を考えていた時、オンラインではいきなり新規事業を考えるよりも軽めのイベントのほうが取り組みやすいと助言をいただいて。それで、ICJでイベントがある日の昼間に時間を取り、自治体職員を中心に日本一早い忘年会を行うことにしました」。

ところが、BASE Qとのやり取りを進める中で、最終的にはイベントにまで拡大。「官民連携による社会課題解決プロジェクトの作り方−リビングラボ、ネットワーク、実証実験の事例から学ぶ−」と題されたイベントには、当日は官民合わせて50名以上が参加しました。

 

(写真:たつみかずき)

 

 

11月29日のイベントは大盛況。各地の自治体職員が渋谷のBASE Qに集合。山田さんをモデレーターに、経済産業省の柴田寛文さん、NTTdocomoイノベーション統括部の沼田尚志さん、インクルージョンジャパン株式会社の寺田知太さん、三井不動産株式会社の光村圭一郎さん、一般社団法人地域・人材共創機構の石井重成さんによるパネルディスカッションとワークショップを実施。終了後はQ KITCHENにて参加者同士の交流を行った。(写真:たつみかずき)

 

2020年3月には、本プロジェクトの6カ月間を振り返る3daysイベントも決まっています。NOSIGNER代表/コクリ!ディレクターの太刀川英輔さんと行う「進化思考」ワークショップ、NPO法人ミラツク代表の西村勇哉さんと「市役所をハックする!」や地域での実証実験の場としての「リビングラボ」の可能性を通して未来を考えるセッションなど、山田さんが新しい自治体職員に必要だと考える知識や思考訓練のコンテンツが満載になる予定です。

山田さん「僕が掲げた『38年間クビにならない市役所職員が本当にすべきこととは何か』というコンセプトは、『進化思考』のワークショップを受けたことから生まれました。市役所を進化させるとどうなるのか。半年考え続けたことで、解決の可不可や理解の是非、面白さではなく真に関わるべきことを見つける大事さと、それこそがAIやロボットにはできない自分たちの仕事になるという所にまで辿り着けた。だからこそ、その思考訓練の方法を広く知ってほしいんです」。

民間企業も自治体と組むことでできる何かを模索する時代。柔軟な思考を持つ自治体職員が増えれば、また新たな流れが生まれるに違いありません。山田さんいわく「目の前で起こっている物事が唯一の現実であり真実」であり「やってみなきゃわからないし未来は自分でつくるもの」。いいこともよくないことも、始めたからこそ見えたものなのです。

山田さん「今回の支援活動でも感じましたが、一つの災害でも国内で見ると被災した地域と免れた地域があるわけです。ですから、メンバーは多様なほうがより助け合えるはずですよね。先日も、東京のイベントで名刺交換した沖縄県内の市会議員をスカウトしたんですが、今後も47都道府県のさまざまな自治体の人に参加していただけたらと思います」。

まだまだ珍しい、地域に特化したオンラインコミュニティの活動。彼らが牽引するプロジェクトには、自治体における新しい可能性が秘められていると言えそうです。

文 木村 早苗
写真 池田 礼

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