「宇宙移住ってどうなの!?」を2019年、年明けに調べてみた

「宇宙移住ってどうなの!?」を2019年、年明けに調べてみた

年始早々、太陽系の惑星でもっとも遠い海王星のさらに外側を回る、「ウルティマトゥーレ」にNASA(米航空宇宙局)の無人探査機が到達したというニュースが飛び込んできました。

2018年には、防衛省が宇宙ゴミや不審衛生を監視するための「宇宙部隊」の新設に向けて動き出したり、トランプ米大統領が「宇宙軍」の創設をめぐって動き出すなど、度々話題にのぼるようになってきた「宇宙」。

アニメ『機動戦士ガンダム』では、地球の人口増加と汚染を理由に、“宇宙移民計画”としてスペースコロニーへと移住をする、という設定ですが、そうした「宇宙移住」も、もはやマンガの世界の話ではなくなってきているのかもしれません。

そこで今回は、「宇宙移住」ってどうなの!?を検証してみたいと思います。

移住先は、月? それとも火星?

インターネットで「宇宙移住」と検索をしてみると、「火星移住」をキーワードとする検索結果がずらりと並びます。あれ、月じゃないの!?と思う人もいるかもしれませんね。ご存知のとおり、月は地球の衛星で、太陽系の中でもっとも地球に近い天体。そして、私たちが地球以外でこれまでに降り立つことができた天体は、月だけです。月への移住計画は、現実的にはまだまだ遠いようですが、月の表面、もしくは地下に居住スペースをつくろうという「月面基地計画」が現在、アメリカやロシア、中国、インド、そして日本でも進められているようです。

一方で、なぜ移住先として火星が取り上げられるのかが気になるところ。じつは、火星には大気があるんですね。もちろん地球よりも薄くて、人が生きていけるほどではないのですが、ほとんど大気がない月よりも、火星の大気や環境を、惑星ごと改造してしまおうという「テラフォーミング」がしやすいのではないか、という考え方に基づく研究が進められています。ちなみに、月の重力が地球の6分の1なのに対して、火星の重力は約3分の1。月よりも火星のほうが多少は地球の環境に近い、ということなのでしょうね。

火星に住むことができるの?

火星を、人が生存できる環境に変えてしまうというのは、地球温暖化の原因にもなっている「温室効果」を利用することが発想のもとにあるようです。

これまでの火星探査機による調査で、火星の地下には水が存在していたことがわかっています。また、地面は凍った二酸化炭素(ドライアイス)に覆われていると考えられていて、水、二酸化炭素、窒素があれば、二酸化炭素の熱をためこむ性質(温室効果)を利用して、火星の気温をあげ、海や大気がつくれるのではないか、と考えられているようです。

水と大気があれば、植物の光合成によって酸素をつくることも可能になるかもしれませんね。ただし、二酸化炭素の量ひとつとっても、火星にどれくらいの量があるのかまではわかっていない、というのが現状です。

「火星移住計画」は、進んでいるの?

まず、これまで火星を探索したのは無人の探査機であることから、火星への有人探査計画があります。NASAはもちろんのこと、アメリカの宇宙ベンチャー企業、スペースXの創業者イーロン・マスク氏、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏も有人探査計画や、宇宙開発計画を進めているのだそう。

このうち、初めて人を火星へと送るのは、予定通りであればスペースXだと言われていて、2024年には2機の有人ロケットと2機の無人ロケットを組み合わせた火星探査を計画しています。

ほかに、火星に永住地を建設する「マーズ・ワンプロジェクト」もあります。オランダの民間非営利団体が進める有人火星飛行プロジェクトですが、その大きな特徴は「片道切符」であること。2013年に移住希望者を募集したところ、世界中から20万人の希望者が集まり、2025年には4人が移住し、その後2年おきに4人ずつ増やしていくのだとか。なぜ2年おきかというと、地球と火星の軌道の関係で、26ヶ月に1度しかロケットを飛ばすチャンスはないのだとか。1回のミッションにかかる費用は約60億ドルとのことですが、到着後に火星での暮らしをテレビ中継することで、放映権収入を見込んでいるようです。

ただ現在のところ、火星到着予定が5年遅れると発表されたり、片道切符であることから倫理的な面での批判が数多くあったり、実現不可能だと指摘をする学者や研究者があらわれるなど、そう簡単な道のりではなさそうです。

 

結論をいえば、宇宙への移住はまだ先の話で、私たちが火星へ到達して、地球へ帰還できるのかが分かるのに、もう少し時間がかかりそうです。それでも、最後の有人月面着陸から46年も経過したいま、私たちはあと10年くらいで火星に着陸できそうなところまで来ているのです。

大航海時代に海へと人が漕ぎ出したのも、根本には、その先に何があるのか?という好奇心があるのだと思います。その好奇心は、いつの時代も同じこと。宇宙大航海時代が、そう遠くない未来にやってくるのかもしれませんね。