地域おこし協力隊には百人百様の「移住」がある。岩手県陸前高田市・高橋瞳さん/岐阜県 揖斐川町・泉野さん/新潟県三条市・夏川戸さん【地域おこし協力隊図鑑 #01】

地域おこし協力隊には百人百様の「移住」がある。岩手県陸前高田市・高橋瞳さん/岐阜県 揖斐川町・泉野さん/新潟県三条市・夏川戸さん【地域おこし協力隊図鑑 #01】

日本全国で5,000人以上が活躍している地域おこし協力隊。そのひとりひとりがさまざまな思いや夢を持って地域と向き合っています。

そんな地域おこし協力隊になる大きな動機の一つが「移住」です。移住を決めたタイミングで、あるいは移住先を探す中で協力隊の仕事を知り、協力隊として赴任すると同時に移住する、それは地域おこし協力隊の主旨にもかなったあり方と言えます。

最初に紹介する高橋瞳さんは、まさに移住先を探す中で陸前高田市の地域おこし協力隊に出会い、未知の土地であるにも関わらず移住を決めました。次に紹介する泉野かおりさんは、故郷岐阜県にUターンしようと仕事を探し揖斐川町の地域おこし協力隊に。そして最後に紹介する夏川戸大智さんは、「移住」そのものをテーマとし、移住を通して都会と地域をつなぐことを目指して三条市に移住コンシェルジュとして赴任しました。

それぞれの着任までの思いや着任してからのこと、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

 \移住コンシェルジュとして移住/
#01  高橋瞳さん(岩手県陸前高田市)

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いきいきと暮らす人を増やしたい
NPO法人高田暮舎で、移住コンシェルジュをしています。私はもともと、いきいきと働く人を増やしたいという思いがあったんですが、東京で仕事で体調を崩したりする人たちを見たり、移住を考える中で、移住によっていきいきと暮らす人を増やしたいという思いに変わっていきました。それで移住促進の仕事をしたいと思うようになり、移住コンシェルジュを選びました。

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応募のきっかけは「働きかたの見直し」
前職は人材紹介や採用代行の仕事で、やりがいはあったんですが、残業が多かったり、本当に顧客のためになっているのかという葛藤がありました。それで転職を考えたんですが、東京にい続けたら、次の仕事でも同じような葛藤をするんじゃないかと思いました。
そんなときに、彼に移住はどうかと提案されて。自分自身も田舎の出身だったことに加えて、彼が休職中でお互いに田舎の方がいいねという思いがあったので、自然環境が豊かだったり、人とのつながりを感じられたりする場所で暮らしたほうが自分たちらしく生きられるかなと思い、移住を決めました。

移住先を探す中で、地域おこし協力隊の制度を知り、地域での生活基盤をつくりながらいろいろなことにチャレンジできる仕事に魅力を感じて、ふたりで協力隊になりたいと思うようになりました。

陸前高田市を選んだ理由は、地域の人たちの人柄
私たちの場合は、ふたりとも協力隊を目指すけど同じ職場は避けたいし、それぞれにやりたいと思える仕事内容で、なるべく早く移住したいという条件がありました。その条件で探す中でSMOUTでスカウトをもらったのが陸前高田市でした。行ったことはなかったんですが、オンラインで移住コンシェルジュや移住者の方たちと話してみてその人柄に惹かれたことと、自然環境も良さそうということで決めました。
背伸びせず、自分らしく暮らしたい

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私は昔からやりたいと思ったらやる性分で、学生時代から旅をしていたんですが、東京では仕事ばかりで、コロナ禍でさらにできなくなって息苦しさを感じていました。

陸前高田でも仕事は変わらず忙しいですが、週末はリンゴやゆずの収穫体験をしたり、自分のやりたいことができている実感があります。それにありのままを受け入れてくれる風土で、ご近所づきあいもさせてもらえて、お裾分け文化にほっこりするし、ありがとうって言ってもらえて嬉しかったり。

方言が強めで、ご年配の方のお話がなかなか聞き取れなかったり、車がないと生活が不便だったりはしますが、基本的には近所で何でも揃うし、背伸びせずに暮らすことの楽しさを感じています。

気づいたら「ずっといてしまう」まちに
移住者が自分らしく生きられる環境をつくって、気づいたら2-3年経っていた、というまちにしていけたらいいなと思いつつ、ミスマッチは起こしたくないので、いいところも悪いところも伝えられたらと思っています。

地域おこし協力隊に興味のある人は、地域のために何かしたいという思いがある一方で、地域に溶け込めるか不安もあると思います。私は、実際に協力隊をやってみて、仕事とプライベートのどちらかでできた人脈や経験が、もう一方に生きるいい循環が生まれてると感じられているんです。地域と関わりたい、貢献したいという人には、いい選択肢だと思いますよ。

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着任した年月:2020年10月
着任前の居住地:東京都杉並区
出身地:千葉県野田市
着任前のお仕事:人材会社勤務

 \地域の文化を残すお手伝いを
#02  泉野かおりさん(岐阜県揖斐川町

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薬草を使った「クラフトコーラ」を広める
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揖斐川町(いびがわちょう)の地域おこし協力隊としての主な活動は、地域の素材を使った商品開発とPR活動です。具体的には、薬草を活用したまちのPRというテーマがあり、薬草の商品開発と活動をしています。

揖斐川町の薬草を使ったぎふコーラを開発して、一般販売も始めました。ゆくゆくは岐阜県の他のエリアともコラボしたコーラで、岐阜の文化や歴史を発信していきたいと思っています。

ふるさとの岐阜県を、もっと理解したい
大学進学をきっかけに10年ほど岐阜県を離れていました。最後はベトナムにいたんですが、ベトナムの人たちは自国のことをいろいろと話してくれるんです。でも自分は岐阜のことも日本のことも全然知らないなと思って、あらためて岐阜を見直したいなと思って岐阜での仕事を探しました。

岐阜のいろいろな地域で開催されるワークショップに参加してみたんですが、揖斐川町で薬草の文化に触れて、それがベトナムでの体験とリンクして面白さを感じた、というのが揖斐川町に決めた理由です。

揖斐川町では、ヨモギやどくだみなどをお茶にしたりするのですが、ベトナムにも草を食べることで薬に頼らずに体を整える文化がありました。揖斐川町にもそうした文化が残ってることに興味を惹かれ、揖斐川町の地域おこし協力隊になりました。

外の人の目線を持ちながら、地域の中へ
揖斐川町は歴史が深く、何代もここに暮らしている人たちが多いので、自分たちで地域を守って次世代に伝えていこうという気持ちが強いですね。いろいろな技術を持った人が多いので、それが揖斐川町のパワーになっているとも感じます。

教えてほしいという姿勢を素直に表現すると、本当に親身になって教えてくれます。ただ、あくまでもよそ者というポジションは変わらないので、外の人という目線を持ちながらも中に入っていく、そのバランスを取る難しさは感じています。

地域の文化を残すお手伝いをしたい
私が協力隊として一番意識しているのは、現地にいる高齢の方が何を求めているのかに耳を傾けることなんですが、みなさん口を揃えて言うのが、旧村時代には技術や文化を残そうとデータを残していたけど、まちが合併してからのデータが残っていないということなんです。揖斐川町は旧揖斐川町と5つの村が合併してできたんですが、旧村時代に各村で受け継がれていた文化があまり残っていないと。今ある踊りやお祭りを記録としても残していく、そんなお手伝いもしていきたいと思っています。
自分が素直になれる場所かどうか?

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地域おこし協力隊として一番大切だと思うのは、地域の人たちと共存することです。自分がやりたいことも大事だけど、それが地域のためになっていない喜んではもらえないので、そうすると結果的に自分がやりたいこともできない。そのバランスが大事だなと。

そのためには、どれだけ地域の人たちと“素”で接することができるかが重要だと思います。だから、応募する前にいろんな土地を見て、そこが自分が素直になれる場所かどうかを感じてみてほしいなと思います。

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着任した年月:2020年3月
着任前の居住地:ベトナム
出身地:岐阜県大垣市
着任前のお仕事:珈琲関連事業

三条市の地域資産を次の世代へ
#03  夏川戸大智さん(新潟県三条市)

プロフィール写真
移住に関わる、あらゆる支援を

移住コンシェルジュとして、移住に関する広報やPR、移住希望者に対する仕事、家、補助金等の紹介をしつつ、コミュニティカフェ「blanc」の運営もしています。

具体的には、移住希望者のキャリア面談をして、人材募集をしている企業とマッチングする採用支援をしたり、空き家を回って空き家バンクを運用して移住希望者に物件を紹介したり、移住に関する補助金がいくらまでおりるか把握してお伝えするとか、そういった移住に関わること全般を業務としています。

三条市の地域資産を継承して、次の世代に残したい

さかのぼると、自分の裁量で新しいことにチャレンジしたいという思いから、ファンディングベースという会社に入社しました。地域をフィールドにチャレンジできる会社で、最初は豊後高田市に地域おこし協力隊として赴任して、ビーチを活用して観光地にするプロジェクトを3年間手掛けました。

10人ほど若い人が地域に入ってきたのですが、その体験から、都会と地域をつなぐインフラがつくれないかと考えるようになりました。移住を通して、地域を「チャレンジする場」として認知してもらうことができるんじゃないかと思ったんです。

それで、移住コンシェルジュの募集を探して三条市に行き着きました。三条市は、日本一社長が多いまちと言われていて、中小企業が約1,000社あるんですが、この先、20年で700社が倒産するのではと言われています。その理由は後継者不足ですが、地域資産である技術がなくなってしまうのは惜しいので、そうした文化を継承して現代版にアップデートしていく人材を移住コンシェルジュとしてマッチングできたら面白いと考えました。

三条市は新しい挑戦がしやすい地域
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三条市はオープンで移住者にとっては住みやすいし、新しいことに取り組みやすい、チャレンジがしやすい場所ですね。コミュニティカフェを運営するなかで、商店街の空き店舗を使って地域の人たちとイベントをしているんですが、新しいことをしようとしたときに、どんどん動いていくんですよね。新しいことをやろうとする人にはいい場所だと実感します。
地域の「環境」と「教育」と「産業」をつなげる

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いま、関係人口から移住支援を通じた起業の後継者育成までを一気通貫で考えるようなことをやっているのですが、シティプロモーションも、観光ツアーづくりも、企業と移住者のマッチング、さらには後継者育成のための教育プログラムまでやりたいですね。

そのうえで、ある程度ノウハウが溜まってきたら、それを他の地域にも展開できるようなモデル化をしていきたいと考えています。モデル化ができれば、もともとやりたかった「地域と都会をつなぐインフラをつくる」ことがある程度できるのではないかと思うんです。

そうやって地域の環境と教育と産業をつなげていって、ベンチャー企業が会社ごと移転したり、起業を考えている人が地域で起業をする、そんな選択肢が生まれていったらいいですね。

移住前に、何人の地域の人と話せるか
協力隊も含めて移住する上で一番大切なことは、移住する前に、何人の地域の人と話せるかだと思っています。最悪、仕事はエリア内で変えることができますが、移住先は変えることができません。だから、できるだけ地域の人と話す機会をつくって、そこで自分にフィットするかどうかを事前にキャッチアップしてもらえたらと思います。やっぱり最後は、人とだと思います。
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着任した年月:2021年4月
着任前の居住地:大分県豊後高田市
出身地:青森県八戸市
着任前のお仕事:新卒:株式会社ROBOT PAYMENT
出身大学:防衛大学校(自衛隊)
移住には、住まいや仕事など解決しなければいけない課題がありますが、地域おこし協力隊の制度を利用することで、その課題が解決され、スムーズに移住できる可能性が高まる事がわかります。
そして、高橋さんや夏川戸さんのように移住コンシェルジュとして活躍する地域おこし協力隊員のおかげで、移住しやすい環境が整えられてもいて、地域おこし協力隊の制度は移住促進を推進する大きな力になっているようです。

文 石村研二

 

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