SMOUTで新たに始まった「移住コーチング」は、対話を通して「あなた」と「移住」との関係を見つめ直し、どんな暮らしがしたいのかを解きほぐしていくプログラムです。移住がゴールではなく、より良い暮らしがゴール。そのための手段として、移住するとしたらどんな場所がいいのかを、合わせて見つけていきます。
プログラムのゴールは、「これからやりたいこと」を整理して言語化することで、納得のいくあなただけのプロフィールができること。70分のオンラインセッション後には、内容を整理した「理想の暮らしを考えるシート」を受け取ることができるのも特徴です。
「移住コーチング」とはどのようなものか、担当する中屋香織さんと古市亮太さんに話を聞きました。
■中屋香織さんプロフィール
ライフスタイルデザイナー/移住コンサルタント
自分らしいライフスタイルを実践するために、2017年に首都圏から熱海 に家族で移住。前職は、こだわりのある人向けの『東京R不動産』で、不動産セレクト・仲介業務を担当。自分にフィットする住まいに出会うためには、自分が望んでいる暮らしを明確にする「ライフスタイルデザイン」の必要性を感じる。移住後は、自分らしい暮らしを実現したい人の「妄想から実現までの伴走サポート」をするライフスタイルデザイナーとして独立。移住サポート歴・移住コンサルティング歴は3年半。特定の地域への移住促進ではなく、フリーの立場で一人ひとりに寄り添った本質的なサポートを行っている。移住を実現できたクライアントからは「サポートのおかげで諦めずに移住ができた」「漠然とした不安が減り、移住のプロセスも楽しかった」と喜びの感想が後を絶たない。
■古市亮太さんプロフィール
ライフコーチ
大学在学中に俳優を経験後、映画配給会社でIPビジネスに従事。世界的コーチングプログラムTPIEを独学にて修了し、プロのコーチとして個人の「能力開発」支援をスタート。これまでのクライアントとのセッション時間は500時間以上。経営者やビジネスマンだけでなく、ミスコンテストの日本代表者など、幅広いクライアントをサポートする。膨大な個人セッションを通じ、価値観が多様化する社会において、ひとりひとりの「自分らしい生き方の実現」を導く為には、「環境(住まい・人間関係)設計」まで伴走サポートしていく必要性があると痛感。その活動を通して、日本人の幸福度を高めていきたいという想いが、本プロジェクトへ参画するきっかけとなる。座右の銘は、「人には必ず使命と才能と役割が与えられている」
移住サポートとコーチングの経験からたどり着いた「移住コーチング」という手法
まずは「移住コーチング」とは、どのようなものなのでしょうか。中屋さんに聞きました。
中屋香織さん
中屋さん 「移住に興味のある方が、本当にしたい暮らしを見つけるお手伝いをするプログラムです。興味はあるけれど何をしたらいいかわからない、面白そうではあるけれど一歩踏み出す勇気がない、そんな方が自分の思いに気づいて移住に向かって進むためのアクションを起こすきっかけをつくります。
例えば、リモートワークが普及したことで地方移住を検討し始めた方も多いと思います。それは東京など都市部以外に住んでみたいということですが、それだけでは移住の理由としては弱くて、本当に移住したい人はもっと深いところに強い欲求があるはずなんです。その自分の欲求に出会ってもらうのが、移住コーチングです。」
移住したいということは今の生活に何か違和感を持っているはずなので、まずそこを引き出して、そこから何に興味がありそうかをコーチングの時間の中で見つけていきます。それをもとに、今やるべき具体的なアクションもアドバイスするので、迷いなく歩みを進められるようになります。中屋さんはご自身が移住者で、個人で移住サポートを仕事にしています。どのようにしてその仕事にたどり着き、今回の移住コーチングにたずさわるようになったのでしょうか。
中屋さん「前職は、特色のある物件ばかりを集める不動産会社で、魅力的な物件を選んで人に紹介する仕事をしていました。当時は、素敵な物件に住めば、素敵な暮らし方ができて、暮らしが豊かになると思っていたんですが、それだけではないことに気づきライフスタイルを見直した結果、移住することにしました。
首都圏から熱海に移住したんですが、そのプロセスでいろいろと学んだ経験を活かして、移住サポートを仕事にするようになりました。移住を切り口に人生相談みたいなことからはじめて、その人らしい暮らしを実現するためのライフスタイルデザインや家探しサポートをしています。加えて現在は、移住サポーターを育てる養成講座もやっています。
個人でやっている理由は、何にも縛られたくなかったからです。不動産業をやると『不動産ありき』になってしまうし、行政から委託を受けると地域に着地をすることに縛られてしまい、本当にその人がその人らしく住める場所に繋げられなくなります。今回の移住コーチングもそうですが、結論ありきではなく、その人が本当に幸せになる結論を見つけるためのサポートをしたいんです。」
移住が専門の中屋さんに対して、古市さんはコーチングの専門家です。なぜコーチングを仕事にしたのか、コーチングとはどのようなものなのか聞きました。
古市亮太さん
古市さん「前職は映画会社なんですが、自分の思いは一貫していて、人に人生を変えるきっかけを提供したり、プロデュースしたいというものです。最初は映画を通してやろうと考えたんですが、もっと人が本質的に変化するきっかけに携わりたいと思ってコーチングをはじめました。
私の場合はルー・タイスというコーチングの創始者と言われており実際にNASAやアメリカ国防総省でも採用されている自己変革プログラムをつくった方のメソッドを学び、それ元にしたコーチングを提供しております。
これまで、個人のライフコーチを中心にやっていますが、ライフコーチは自己実現のために必要なプロセスにおける「マインドの使い方」をアドバイスし、実現に至るまでのプロセスをしっかり応援し、伴走していくものです。最近は、組織コーチという形で、組織に所属している一般の会社員の働きがい、生きがいを実現するための企業様向け支援もしております。」
このライフコーチを追求していく中で、移住のマッチングにコーチングを取り入れられないか、そんな話が出てきたのだと言います。
古市さん「ライフコーチのセッションをする中で、住む場所と幸福度が密接に関わってくると感じていて、そういったところまで関われたらいいと思っていました。その頃、ちょうど移住スカウトサービス「SMOUT」との接点があり、移住希望者の目的が明確になってないと、移住先とマッチングしないことがあると聞きました。それで、地域とつなぐだけではなく、移住希望者と移住受け入れ側の方々にとってWin-Winになるよう、コーチングを入れたらどうかという話になったんです。」
中屋さん「目的が不明確なまま移住検討を進めてしまうと、ミスマッチの原因の一つに繋がりますからね。目的やビジョンを明確に持てれば、それにフィットする移住先を見つけやすくなるはずで、そこにコーチングという手法がうまくハマるんじゃないかと考えて古市さんにジョインしてもらいました。」
本当の自分を掘り下げるための「問い」を投げかける
自分の内なる欲求に気づき、本当に望む移住とはどのようなものかを追求していくという「移住コーチング」ですが、実際には、どのようなセッションが行われるのでしょうか。
古市さん「70分1回のセッションで、今までの住まいの棚卸しからはじめて、その人の住まい観や、 住む場所に求めることの「価値観」を掘り下げていきます。」
中屋さん「今まで住んできた家での経験や感じてきたことの中にヒントがあるんですよね。家を選ぶときは、職場の近くとか駅までの距離とか、予算はいくらでとか、風呂とトイレは別がいいとか条件をあげてそれに多く当てはまる物件を選ぶと思いますが、引っ越したあとで失敗したと思うことは誰しもあると思うんです。それは自分が家に何を求めているかの優先順位が整理されていなかったということではないかと。そうした失敗を振り返ることで、どういう選び方をしたら幸せな日常を送れるのかが見えてきます。
移住も同じで、この地域がいいとか、興味のある仕事があるとか、一部の条件に飛びついてしまうと、こんなはずじゃなかったとなりがちです。だから、どういうプロセスを経て移住先を選んだら幸せな移住が実現できるのかの優先順位を、住まい歴から考えることをやっていきます。
例えば子どもの教育環境を考えて移住しようと考えた場合、教育環境の優先順位が高いのは当然ですが、親である自分たちの価値観やライフスタイルの中で大切にしたいことをちゃんと考えた上で進めることが大切なんですよね。うっかり置き去りにしがちですが、失敗を防ぐためにもしっかり向き合うべきポイントです。」
古市さん「コーチの役割は自分で気づくための問いを投げかけることで、その問いについて考えていただくことで自分でも気づいていない本当の自分を掘り下げていくことにつながります。今回のセッションでも、移住したい理由や目的をちゃんと本人が自己認識できるレベルまで深掘りできる問いを投げかけていきたいと考えています。結果的に本当にしたいのは移住ではなかったとなったとしても、無駄な失敗をしなくてすむことになりますから、結果的にはプラスになるはずです。」
中屋さん「実は、私もコーチングに通っていた時期があったんです。漠然と今の暮らし方や生き方があまり自分に合ってないような気がして、仕事を辞めたタイミングでコーチングに通いました。最初は、本当の自分に気づいてしまったら生きていけないんじゃないかという恐怖感があって、すごく怖くて。でも上手にそこに触れるためのサポートをしてくださったおかげで、怖いことは何もありませんでした。
本当の自分に触れるのが怖くて、世の中の価値観に合わせたり、他人の期待に応え続けたりしてしまう人が多いと思うんですが、幸せになりたいなら、どういう状態になったら幸せを感じられるのかを自分自身でちゃんと深堀りをして、明確にしていかないと難しい。だから幸せになりたいなら、思い切って本当の自分に触れてみてほしいですね。」
違和感を出発点に、本当の自分と出会う
自分も知らない本当の自分って、どんな自分なのか。確かにそこに触れることへの恐怖心は、誰でも持っているものだと思います。でも、誰かに打ち明けてみることを通して気づくこともたくさんありそうです。
移住コーチングでは、コーチとのオンラインセッション後、セッションの内容を整理した「理想の暮らしを考えるシート」をプレゼント!その内容をもとに、ご自身でSMOUTのプロフィールページを更新することをおすすめしています。
納得のいくプロフィールを完成させ、地域の人からたくさんスカウトがくる状態にステップアップすること。これがこのプログラムのゴールです。
理想の暮らしを考えるシート(サンプル)
最後に、「移住コーチング」を受けて欲しい人はどんな人なのか、あらためて聞きました。
中屋さん「もっと幸せを追求したい人ですね。自分らしく暮らしたいけど、どうしたらいいのかわからない。そして、移住を通して幸せになれないかと考えている人。今の暮らしに違和感があるけれど、どうしたらいいかわからなくて、移住して幸せに暮らしている人が多いのを見て、自分もこれやってみたいなって興味を持っている人だと思います。
移住コーチングを通してその違和感を出発点に、今の暮らしに足りない部分が分かれば、その足りない部分を埋めて幸せになるために必要なのが移住なのか、二拠点なのか、関係人口的に地域と関わることなのか、それともまったく別なことなのかもわかってきます。
移住する場所も生まれ故郷なのか、別の場所なのか、そこをどうやって見つけていくか、そうしたプロセスがわからない人が多いと思うので、それを自分の中から見つけてもらえたらと思っています。」
結果のいかんに関わらずプラスになる「移住コーチング」。具体的には、どのような効果があるのでしょうか。
古市さん「中屋さんの話に加えるとしたら、整理できることですね。移住を考える際には、人生観、キャリア観も関わってくるので、これをきっかけに自分にあった働き方を見つけて転職しようと思ったり、住まいだけではない部分の発見があったり、自己整理がより深くできると思います。新しい自分の発見ですね。」
中屋さん「何かが終わってリセットしたくて、次の新しい何かが始まるまでの移行期間にいる人にとっては、人に相談してみて、整理できて、何かが発見できるってありがたいことだと思うんです。私の場合、そういうタイミングで身近に話せる人がいなくて長いこと一人で悩んだので。もしコーチに出会えなかったら今の自分はないかもしれません。すコーチングのおかげで先に進むことができたので、過去の自分と同じように困っている人の力になれたらいいなと思っています。」
移住という結論ありきではなく、その人の本当の欲求や家族が大切に思っているものを解きほぐしていき、本当に求めているのは何かを明らかにしていく過程が大切です。みなさんも、自分の中を見つめて新たな一歩を踏み出してみませんか。
そして、オンラインセッション後に受け取る「理想の暮らしを考えるシート」をもとに、ぜひご自身でSMOUTのプロフィールを更新してみてください。プロフィールに「認定バッジ」も掲載されるので、地域の方に積極的にPRができ、よりスカウトを受けやすくなりますよ。
文 石村研二
※移住コーチングの特設サイトはこちらからご覧いただけます。