長らく続いたコロナ禍がようやく明けた、2023年。SMOUTの登録者数は2022年から1.2倍に増え、2024年3月現在で約58,000人に。SMOUTを利用して関係人口づくりや移住・定住促進を図る地域も増え、941市町村(2024年3月現在)になるなど、地方に接点や拠点を持ったり、移住をする動きはますます広がっています。
今回は、2023年を振り返り、関係人口から移住・定住までをカバーするサービス・メディアをまとめた「地域系サービス・メディアカオスマップ2023」について、最近の動向を俯瞰しつつ、特徴的なサービスやメディアをご紹介します。
※ 2022年のカオスマップ記事はこちら。
まずは、2022年のまとめをおさらい
まずは2022年のおさらいをしましょう。
2022年のカオスマップでは、向かって左に「交流」、右に「定住」と軸を置き、交流、関係人口、移住、定住という4つのレイヤーごとに地域系サービスやメディアを分布しました。大きなポイントとして挙げられるのは、これまで扱ってこなかった「交流」という裾野まで視点を広げたこと。「関係人口」のレイヤーが「交流」とまたいだサービス、もしくは「移住」とまたいだサービスが増えたことでした。
特徴としては、気軽に参加できる、インターネット上の「仮想空間」での交流が増えたこと、また「サウナイキタイ」のほか、「YAMAP」や「アソビュー!」などディープな観光として、地域との接点がますます増えた点でした。
さらに、TABIPPOが運営するニューノーマルトラベラーが育つ学校「POOLO(ポーロ)」といった地域を舞台とする「まなびの場」の登場によって、“地域×◯◯”の◯◯の部分に「観光」の領域が色濃く入った年でした。
他にも、採れたてのオーガニック農作物を生産者から直接購入できる「食べチョク」の利用者が急増するなど、食を通じて地域を盛り上げる「商品化・共創」が広がりを見せました。
2023年、移住・定住や関係人口のための地域系メディア・サービスの特徴は?
それでは、2023年のカオスマップを見ていきましょう。
「地域系サービス・メディアカオスマップ2023」は、風・土・水・火のカテゴリに分類。昨年のカオスマップのカテゴリでもあった「風の人」「土の人」に、「水の人(何かと何かをつなぐ・まぜる)」「火の人(新しいこと・ものを生み出す)」を新たに追加した4分類としました。また、サービス数は174に。
それでは、ピックアップしたい特徴的なサービスやメディアを、少し詳しく見てみましょう。
いつでも気軽に、“すき間時間”に働く
「Timee」Webサイトトップページ
「mercari Hallo」Webサイトトップページ
2023年のカオスマップでの大きな特徴は、「スポットワーク」のカテゴリを新設したこと。無料の求人掲載サイト「Timee(タイミー)」に加え、すぐに働けるちょっとしたお仕事をかんたんに探せるサービス「mercuri Hallo(メルカリ ハロ)」がスタートしました。こうした“すき間時間に働く”ことは着実に市民権を獲得しており、この流れは、2024年も引き続き注目されそうです。
「多拠点居住」のサービスの数が急増
賃貸・ホテル予約サービス「unito」Webサイトトップページ
「多拠点居住」のカテゴリは昨年にもあったものの、その数は6から2023年には11と、約2倍に。ますます多拠点居住が広がりを見せています。例えば、賃貸・ホテル予約サービス「unito(ユニット)」は、2020年12月に正式版をリリースしましたが、ホテルレジデンスの運営物件数は454件、会員数5万人(2024年2月)を突破しました。
国交省では、都市と地方の双方に生活拠点を持つ「二地域居住」の推進に向け、人の往来を通じた地域活性化を目的とした「広域的地域活性化基盤整備法」の改正を目指すなど、新たな制度の創設も進んでいます。
体験に特化、ラグジュアリーな旅など多様な「インバウンド」サービス
訪日外国人向けワンストップ観光情報サービス「LIVE JAPAN」Webサイトトップページ
さらに注目したいのが、「インバウンド」サービス。昨年は4だったのが今年は11に増えるなど、サービス数が急増しています。実際に、まちを歩いていて海外の人が増えた、出張などで宿泊予約をする際に、空いている宿やホテルが少ないなと感じている人も少なくないかもしれませんが、実際に訪日外国人数は、12月に新型コロナウイルス感染症拡大後で単月過去最多、12月には過去最高を記録(※1)。そうした背景もあって、体験に特化したものからラグジュアリーな旅を訴求するものまで、多種多様なサービスが揃いました。
地方創生×NFTへの期待
NFTマーケットプレイス「HEXA」Webサイトトップページ
また2023年は、地方自治体が抱えるさまざまな問題に対し、メタバースやNFTを活用するといった地域活性化の流れが加速。NFTマーケット「HEXA(ヘキサ)」は、山形県西川町と包括連携協定を締結し、西川町デジタル住民票NFTを販売。他にも観光客誘致、ふるさと納税の返礼品、デジタルアートの販売、生産者が減少する農産物支援など、さまざまな活用が始まっています。
「地域・地域の人とのマッチング」も急増
「地域・地域の人とのマッチング」のサービスも倍増しています(今年は6、昨年は3)。2023年は東京圏への転入が超過し、脱コロナによる都心回帰の傾向が進みました(※2)。
とはいえ、東京圏在住者のうち、特に20代の地方移住への関心が高く、約4割が移住への関心を示しています(※3)。他にも、二拠点居住や副業・複業といった地域へのかかわり方の選択肢が増えたことも、一因にありそうです。
いかがでしたでしょうか。「多拠点居住」「インバウンド」サービスなどがさらに広がりを見せた2023年。移住を考えているみなさんにも、関係人口の創出をしたい地域のみなさんにも、「地域系サービス・メディアカオスマップ2023」が参考になれば幸いです。
※1 訪日外客数(2023年12月および年間推計値):日本政府観光局
※2 住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果:総務省統計局
※3 第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査:内閣府
※ 掲載したロゴ・サービス名称について
当マップ記載のロゴにつきましては、事前許諾を得ていないものがございます。もし当マップへの掲載に問題がある場合は、お手数ですがこちらまでご連絡ください。また、ここに掲載されていない地域関連のサービスやメディアを運営している方がいらっしゃいましたらお知らせください。
文 SMOUT移住研究所 編集部